読脳アカデミー
スクール生の声

慢性疼痛患者の現状と課題【RSさん 48歳 男性 静岡県 会社員 20〇〇年◯月受講】

今や原因不明と診断され、治療法も確定せず苦悩の日々を重ねている患者は多く存在する。原因特定のため、ドクターショッピングをはじめ、、どこへ行っても結果は同じ、そして、ついには家族にすら病気を理解されず、不安症やうつ病になる。最後には、このまま生涯痛みとつきあうか、自殺するかを選択することになる。

実際、米国では、自殺者の約10人に1人が慢性疼痛が原因で自殺している。米国では、2500万人以上を超える成人が慢性的な痛みを抱えており、このうち1050万人が憂慮すべき痛みに毎日耐えているとされている。米国立傷害予防管理センターは、全米暴力死報告制度に登録している米国18州で2003年から2014年に発症した12万3181件の自殺データーを分析した。その結果、自殺者の8.8%(1万789人)は慢性的な痛みを抱えていたことが明かになった。これらの多くは、腰痛、がん性疼痛、関節炎が占めていた。また、慢性疼痛をかかえている自殺者の割合は2003年の7.4%から2014年に10.2%に増えた。⁽¹⁾要するに、患者にとっては、たかが、腰痛、関節炎ではないのである。

とりわけ、西洋医学においては、1928年にイギリスのフレミング博士によってペニシリンが発見され、第二次世界大戦の多くの負傷兵を感染から救っている。この功績により、ノーベル生理学・医学賞を受賞している。それから、約90年が経った今も医学は日進月歩し、その恩恵を受けていることは確かである。とはいえ、今だに治療法が確立していない病気は数多く存在し難病という項目で扱われている。

初めて、腰痛で接骨院を受診したとき、今までに腰痛になったことはと聞かれ、一度も、と答えると幸せな人生だったね、と軽くあしらわれる。感情が乏しいのか、職業柄慣れてしまっているのか患者に寄り添おうという気持ちが微塵も感じられない。お客さんが一人増えたぐらいにしか考えていないのだろう。

余命わずかな母の病気について、さて問題です。あなたのお母さんはあとどのくらい生きられるでしょうか。と質問してきた。いくらIQが高くても、医療人としてIQが低い医療人が存在する。自分の母親や子が同じ状況だった時、同じことが言えるのか。同じ気持ちなれるのか。慣れというものは恐ろしいものである。

慢性疼痛を緩和させるための、認知行動療法も数少ないが全国の大学病院で行われている。要するに、好きなことをすることに、幸せホルモンを出し、脳が感じる痛みの程度を以前の状態に戻すというものである。週末に趣味のラジコン飛行機に没頭したり、子犬を飼って一緒に散歩したりして、セロトニンやオキシトシンを増やすのである。セミナーで、実際に施術を体感し、効果のほどにさすがに驚いた。こんな素晴らしい治療は見たことも聞いたこともない。それぞれの病気によって、鍼灸の経穴をを押しているのだろうか。一度の参加では、どのような作用なのか説明できないが効果は間違いない。1人でも多くの人に依然と変わらない健康な体を取り戻してもらうためにも、知識を深め、効果を体感し、痛みに耐えている大勢の患者の役に立ちたい。

人の役に立ちたい、求める人の役に立ちたい、そういう気持ちを生きがいとして、精進していきたいものである。

参考文献(1)Petrosky E Ann Intern Med.2018sep11 Epubahead of print

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